獅子頭   甘酒神事
  この獅子頭は棚橋のダイジョウと呼ばれる獅子頭と対を成すといわれるもので、「おさき」と呼ばれている。やや面長であり、端正で落ち着いた美しさをもっている

  無銘であるため彫造年代は不明で、全体的に面高に比し面奥が長いところから、中世様式を踏まえた近世初め頃の作品ではあるまいか。
    この獅子頭は、もと下久具の岡垣外にあった八柱神社の甘酒神事のとき、獅子舞に使われた。八柱神社の祭神は、明治41年、内城田神社に合祀されたが、獅子舞は下久具の大祭行事とされている。

  獅子舞は旧正月七日、甘酒神事の一つとして行われる
  甘酒神事は(昔は)下久具の山川、上り,下りの三組の区民に四斗樽に3杯ずつ甘酒を仕込んで供した。

  (中略)、昔は、神事の当夜、区より二人、七度半の使いとして神主の家に来て、八度目に神主が正装で御錠を持って奉仕、甘酒を石臼で引いて神前に供え、神事が始まると、19歳の男子による獅子舞が奉納されたという。

  現今は各戸から5合ずつ米を集めて、当番の家と婦人会員で甘酒を作る。 (度会町史より抜粋

 
獅子伝説  
  田間の夫婦獅子が下久具の獅子岩に流れ着き、雄獅子は棚橋の人が拾い上げ、産土の八柱神社に奉納した。
  雌獅子は円座の人が拾ったが、雌獅子は円座を嫌ったので、円座の人は腹を立て川へ投げ捨てた。これが逆流して下久具の獅子岩にたどり着いた。これを中西楠八氏の祖先が拾い上げて祀ったという。
  名をオサキ(左京)といい、棚橋のものは雄頭でダイジョウという。
 
     獅子舞の中で「ダイジョウ、ダイジョウ」と雄獅子を呼ぶオサキ