篠島「太一御用」御幣鯛(おんべだい)船
平成十七年十月十二日(日)開催の内容
愛知県知多郡南知多大字篠島字中手島では,古くから神宮
の三節祭にお供えする干鯛が作られています。
六月の月次祭には,目の下一尺五寸(約45センチ)の身卸
鯛が二十八枚、一尺二寸(約36センチ)の大干鯛が五十枚,
七寸(約21センチ)の小干鯛が百十枚作られ,十月の神嘗祭
と十二月の月次祭には,身卸鯛は使わず大干鯛,小干鯛が
作られ,毎年これら合計五百八枚が神宮に奉納されます。
干鯛とは,生の鯛の内臓を除き,井戸水でよく洗い,海水で
浄めて,食塩をたっぷり入れた樽に漬けて,村の倉庫に数日
貯蔵されたものを西風の強い日に再び海岸に運び,潮洗いし
て一枚ずつ広げ,竹の串などを立てて注連縄を張る青竹に囲
まれた浜で干した鯛です。
運搬は,昔は「太一御用」の旗を掲げた新造船で唐櫃に納
めて運ばれました。河崎港から道中を露払いし,大名行列さ
えも下馬させ,沿道の人々は土下座したといいます。
篠島は,鎌倉時代は志摩国志摩郡に属し,室町時代には
伊勢国度会郡に属していたことがあり,神宮領とされていま
した。
今も篠島にある神明神社,八王子社は内宮の東宝殿の 古
材で遷宮が行われており,伊勢神宮と深い関わりがあります。
平成十年,島の若手漁業者から「神宮から選ばれた鯛の
島をPRし,御幣鯛を篠島の誇りとして再認識したい.」との
声があがり,七十年ぶりに昔ながらの形で内宮宇治橋から
行列を組み、鯛の奉納が行われました。
今年も十二月十二日に篠島から漁船七艘に約六十人が分
乗し「太一御用の」旗を掲げ,神社港に入港します.更に「篠
島女将さん会」も同船して特産物の即売による島のPRが行
われ、篠島各団体代表の皆さんが参加される舟参宮も行わ
れます。
また午後には,篠島の役員の皆様等により餅まきが行われ
ます。
御幣鯛船歓迎実行委員会・神社港自治会
篠島、神明神社
内宮、御丈殿に納められた干鯛
篠島からの船の大漁旗の先に翻る「太一御用」