吹上甚句歌詞

(「神宮式年 第62回御神木奉曳歌  吹上町奉曳団」歌詞栞より)

 甚句

勢州ヤーヱ 桑名に過ぎたるものは  トコドッコイドッコイ
木村ヤーヱ 庄之助、にササー境川  トコドッコイ
ドッコイ

稽古ヤーヱ 角力なら負けてもやろうが  トコドッコイドッコイ
明日はヤーヱ 初日でササー負けらりょか  トコドッコイドッコイ


櫓ヤーヱ 太鼓にふと目を覚まし トコドッコイドッコイ
今日はヤーヱ どの手でササー投げよやら トコドッコイドッコイ

鮎はヤーヱ 瀬に住む鳥は木の枝に  トコドッコイドッコイ
人はヤーヱ 情けのササー下に住む  トコドッコイドッコイ

鯉のヤーヱ 瀧登りや何と伝うて登る  トコドッコイドッコイ
山をヤーヱ 川にしょとササー伝うて登る  トコドッコイドッコイ

大龍ヤーヱ 大龍大龍つのだせ大龍  トコドッコイドッコイ
角をヤーヱ 出さなきゃ膳所の代官所へお届け申そか、大龍
                    トコドッコイドッコイ
高いヤーヱ 山から谷底見れば  トコドッコイドッコイ
お万ヤーヱ かわいやササー布さらす  トコドッコイドッコイ
              (中略)
さらばヤーヱ これから踊りを替えて  トコドッコイドッコイ
当時ヤーヱ はやりのストトコ節など 聞いておくれ (ソレッ
 ストトコ節

おさん髪の毛がべらぼうに長いね
  佐渡の金山七巻八巻、九巻十巻まで巻いてね トコショ

    巻いた余り毛で江戸は品川志州鳥羽浦
      港港のヨホホイ船をつなぐね トコショ


奥の金唐紙や稲妻模様で  ピカリピカリ光るね トコショ
  内じゃおかみさんんの ヨホホイ  目が光るね トコショ

吉田通れば二階から招くよ トコショ
  しかも鹿の子のヨホホイ振袖ででよ トコショ

そりゃ出た又出た裏の小池から
  どじょうの子や亀の子一匹二匹じゃないそうな

    およその数三万三千三百三十三匹ほど出たがね トコショ
      親ももんぐり込みゃヨホホイ子ももぐるよ トコショ


昔一の谷の戦の時に力の強いは弁慶さん
  近江三井寺さんの鐘をえい山絶頂へ
    引きづり引っぱり小松の小枝に小づくりかけて
      陣金太鼓の様に打ちならされてね  トコショ
        鐘もあきれ返ってヨホホイ本音を出したね


蝶よ花よと餅米の甘酒 両国橋の幾代餅
  買うて食わせて育てた娘さん お嫁入りとはもったいない
    もったいないこともったいないが どうせ俺等にゃヨホホイ
       歯が立たぬ トコショ


世間ながめりゃ一本さしたが町人さん
  二本さしたが皆さむらいでネー
    三本さしたら宮川名物でんがくさん
      四本柱がお角力さん お角力さんなら寄ってきな
        よってきなといわれた時にネー
        稽古まわしや化粧まわしがヨホホイ手につかぬネー

甚句 は七七七五調の民謡で新潟の越後地方が発祥といわれている盆踊り歌です。米山甚句、名古屋甚句、博多甚句など。

角力甚句 は江戸の末期に大相撲の興行で余興に力士が唄った事で江戸時代末期から明治時代を通して全国的に流行しています。(以上広辞苑参考
全体にゆっくりしたリズムで、囃子言葉も「ホウ」とか「ドスコイ」などが使われています。

吹上甚句 は「甚句」から始まり、「ストトコ節」に移り、最後「散」で終わりとなります。甚句とストトコ節の途中に、一唄ごとに「あいの手」の唄が入ります。
 甚句の終わりの歌詞と散の始の歌詞(
青字)がきっかけとなって、甚句→ストトコ節→散へと移ります。きっかけの歌詞を唄いだすことで全体の長さを調節しています。

世木神社で踊る茜さんたち

 あいの手

おっ天てれつく天狗の面  おっかあおっかあおかかの面

  父さんひょっとこ般若の面 畑に蛤掘ってもない 
                  トコドッコイドッコイ

三間間口の蔵よりも  よい嬶持ったが一生の徳だよ
  草葉の蔭から親達喜ぶ  トコドッコイドッコイ


深山古山の茶の木は枯れても 濃茶は飲ますぞ
  永泣きしゃんすな 縁なら添わすぞ  トコドッコイドッコイ


蜜柑キン柑酒のかん、親はせっかん子はきかん
  角力取り裸で風邪ひかん  トコドッコイドッコイ


奥州街道で南瓜がつるんで つるんだ南瓜が雪隠こわした
  五百の損だよ百姓のことなら百貫出しても建てずばなるまい
                   トコドッコイドッコイ
 散(さん)

処は上州舘林 ひきわりご飯のたき置きは
  一刻(とき)たったらバアラバラ


蝶々とんぼやきりぎりす 山で野山でさえずる
  蝉や松虫くつわ虫
    チョイのチョイのチョイのオッチョコチョイのチョイ


猫じゃ猫じゃとおっしゃいますが猫が下駄はいて傘さいて
  絞りの浴衣で来るものか
    チョイのチョイのチョイのオッチョコチョイのチョイ

江戸で唐傘いせ参道江戸で お江戸ではやるは
  百に二かいの蛇の目傘

    チョイのチョイのチョイのオッチョコチョイのチョイ