166.波切の大念仏   ( 志摩市大王町波切 )

伊勢志摩きらり千選
推薦のことば
A.波切、船越、名田、畔名に伝わるお盆の行事で、かさに色々なものをつるし念仏を唱えながら輪に
  なって回わるめずらしい行事です。(大王町、45、男)
B.大王町でお盆に行われる大念仏、その年に亡くなられた方々の供養をするものです。先祖を大切に
  して成仏させしっかり供養する、人をも大切にする行事だと思います。(阿児町、26、女)
C.近年、会場が変わって雰囲気が変わってしまったけど、昔は宝門の浜でやっていた時もあったとか…。
  潮のにおいと海端の日差しの暑さは、かえって昔の雰囲気に近いのかも知れません。(大王町、ー、男)
          暑さは多少収まったが5時ごろ、供養の続く会場 2016−8−14
           (ポインターを当てて見る写真は)祭壇側から見た様子
傘ブクを手に
列をなして回る
  この地方独特の盆行事である。夕方4時半、まだ夏の熱気の残る波切漁港の広場に、新亡の家族とその関係者が集まり、皆でこの1年に亡くなられた方を供養する。

  広場中央に盆踊りの櫓が立てられ、この周囲を20
(2016年)を超える家族が、それぞれに1つの傘ブク(2項参照)を持ち、輪をつくり、列をなしてぐるぐるまわる。

  新亡一人毎に名前が読み上げられ、鉦と太鼓が鳴らされ、列が動き出す。.今年(2016年)は57のお名前が挙がっていた。

  各傘ブクは男性が持ち、その後ろを新亡の家族の女性達が白いうちわを持って、後ろから傘もちの男性を煽ぎながら一緒にまわるのである。
 

傘ブクに下がる故人の遺品
  傘ブクは、和傘の周囲に幅40cmほどの布が垂らされもので、この布には新盆の戒名、家の屋号、新盆の俗名、没年令等が書かれた紙が張られている。

  傘ブクの内側には小さな提灯や、故人遺愛の扇子、財布、数珠、箸、小袋、などが紐で下げられている。
  この傘ぶくを持つのは、親類や知人の男性で、こうした男性が輪の中に100人ほどいて、タイミングを計って、この傘の持ち手を交替する。 

  傘ぶくの持ち手が多いほど故人の人間関係の豊かさを示すもので、家族にとってはうれしいことらしい。それを気遣ってか、この日は関係者が県外の遠くからも参加するという。
  傘ぶくの交代の申し出の様子 2016−8−14
   (ポインターを当て)吊るされた遺品の数々 
            幟をぶつけ合う 「ガチャガチャ」 2016−8−14
 (ポインターを当て)僧侶の読経の後、祭壇でご詠歌を唱える女性たち
ガチャガチャ
  行事のはじめに、珍しいやり取りがある。「ガチャガチャ」とよばれている。
  各家族は戒名を記した紙を竿竹に付けた幟を用意しているが、これを男性が一本ずつ手にして広場に集まり、互いに竿ををぶつけ合う。幟の紙が千切れるまで叩き合う。さながら昔の戦のように。
  そのわけは、供養終わった後は、あの世で使う戒名が書かれたものを忌み、破るためにぶつけ合うのだという。

  会場の南側のテント内には祭壇が設けられ、新亡の戒名を記した灯篭が安置されている。広場での供養に並行して僧侶の祈祷、女性たちのご詠歌がすすめられていた。

には2002年の大念仏の様子を載せています。

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独特のリズム
幼い頃曽祖父の初盆で初めて大念仏を経験しました。
「デーンツデンツ、スッカラカッカ」のリズムは耳から離れません。
このリズムを聞くと盆が来たことを実感します。
大念仏による供養は今後も続けて行ってほしいです。

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インフォメーション  

志摩郡大王町波切漁港。8月14日夕方5時ごろから2時間ほど。

 


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