79.ツヤブキ(一般にはツワブキ)の押し寿司
( 南伊勢町古和浦 )
押し寿司等はいろいろありますが、ツヤブキの葉を使う押し寿司は、ツヤブキの葉が日持ちをさせる役目をしているようです。古和浦地区だけで、祝事などには作ります。作る押し箱も特別のもので、5段重ねの押し箱を使い、今では、その箱を作る人も少ないようです。(南島町、52、女)
市場で見付けた「ツワブキの押し寿司」
祝いの郷土料理
ツワブキの葉に、味付けされた魚と野菜を乗せて押したのが「ツワブキの押し寿司」である。
この寿司は古和浦地区だけのものだそうで、昔はどこの家でも厄年の祝いに作っていたそうだが、今はほとんど作られることはなく、商品化されて道端の小さな市場(KFC土日市)に月に一度並べられるだけである。
作られなくなった理由の一つには自生のツワブキの葉が少なくなってきたことにあるそうだ。
1箱3切れ入りで500円(2004年現在)、ふたを開けるとほのかにツワブキの葉の香りがする。
「ツワブキ」の薬効
ツワブキは主に西日本の海岸沿いに自生するキク科の植物で、10月から11月頃にかけてキクの花に似た黄色い花を咲かせる。
葉にはヘキセナールという抗菌作用があり、昔は葉を湿疹や吹き出物の湿布薬として使い、茎は乾燥して食当りや下剤の薬として使っていたそうだ。育てやすい植物なので、薬と観賞を兼ねて庭先に植えている家も多い。
ツワブキの名前の由来は、丸い葉が蕗に似ていて葉に艶があるのでツヤブキと言う説と、肉厚の葉から厚葉蕗がなまってツワブキとなったという2説がある。
佃煮の「キャラブキ」は、このツワブキの茎を薬として煮たことから考え出された惣菜だそうだ。
キク科の植物「ツワブキ
2004.9.23
2段重ねて1組
2004.9.4
「ツワブキの押し寿司」作り方
よく洗って繊毛を取り除いたツワブキの葉を、押し箱の下に敷き、それぞれ薄く切って味付けした椎茸・人参・ごぼう・れんこんと寿司飯を交互に重ね、同じものを2段作る。
その上に醤油・酒・みりんに漬け込んだ新鮮な生の魚(イサギ)を乗せる。これを一組として同じものを5組重ね、上から押さえ込んで一晩寝かせる。
一晩おくことで具とご飯がよくなじみ一層味を引き立てる。出来上がった押し寿司をツワブキの葉で包む。
生ものを抗菌作用のあるツワブキの葉で包むことによって日持ちを考えた昔の人の知恵が伺えるすばらしい郷土料理である。
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国道260号線の楠江バス停近くで開かれる土日市場で月に1度売られている。
(2004年)
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